雑 草
暑い日差しの中いきいきと走り回る男が1人、サッカーボールと戯れてる。
こんなにじりじりと熱くなきゃ「水を得た魚」と表現したいトコだけど、あまりに熱すぎてそんな形容詞を使うのをためらわれる。
熱いよなあ。暑いっていうより、熱いだよ、こりゃ。
若島津は教室の窓からぼけらっとグラウンドを眺めていた。
昼休み。1番日差しが強くなる時間。こんな暑い日に外にいるのは、日向とサッカーボールくらいだった。
日向が水道の蛇口をひねり、ごくごくと飲んだかと思うと、頭を蛇口の下へと移動させ、冷たい水を髪に吸い込ませた。もちろんタオルなんてなくて頭を左右に振り、水滴を飛ばす。
その様子を見ていると今朝の風景を思い出す。
朝花壇に水をやっている女生徒がいた。園芸部らしい彼女たちは毎朝、水遣りと花殻摘みが仕事らしい。花壇の花がいつもイキイキしているのは彼女たちのおかげだとはじめて知った。
「へえ、だからいつもこんなにキレイな花が咲くんだ。」
「草花って、水をちゃんとあげればどんなに暑くなっても元気なんだ。っていうか暑ければ暑いほど元気になるみたい。」
品種にもよるけどね。そうカオを紅潮させながら、園芸部の彼女は教えてくれたっけ。
それって、日向さんにもあてはまるんじゃねえの?
ある程度の水さえ与えときゃ、暑ければ暑いほどイキイキする。
でも、日向さんは「花壇の花」っていうより雑草かなあ。どんなに辛いことがあっても困難が訪れても、頑張ってサッカーを続けてる。ま、花ってガラじゃないしね。
自分の存在に気がついた日向がお前も降りて来いよ、と合図を送っている。
冗談。こんな暑い中、外になんていられないよ。サッカーボールは好きだけど、この時期は部活だけで充分だ。
それに俺はあんたと違って雑草じゃないし。
雑草に憧れる室内の花なのかも。
おしまい♪
こどもと炎天下の中、公園に出かけたときに車の中でノートPCで勢いに任せて仕上げました。日向を雑草と評して日向ファンのみなさまに怒られるかな?ごめんなさい。ペコリ。
ちょっと爽やかかな〜と自分なりに気に入ってはいるんですケド。
なにはともあれ、日向さん誕生日おめでとう★